私がヴェネツィアングラス(ヴェネツィアンビーズ)のことを知るきっかけとなった、10年前のある日の夜に見た不思議な夢のお話しを母が本にして欲しいと言ったので、物語を書く様な気持ちでこちらに綴っていこうと思いました。

私は夢の中でまるで古代の人の様に白い布を纏っていて、サンダルや草履の様な履物をはき、同じ様な格好をした何故か髪はボサボサで布はボロボロな動かない母を右肩に担ぎ腕を回しながら道なき道をひたすら歩いていました。
頭が下を向きぐったりしている母はとても重たく、夢なのに現実の様に重みを感じました。それでも懸命にただ目の前の何処に続いているかも分からない道を一歩また一歩と歩み続けました。
しばらく歩き続けているとある瞬間、
まるで時空が変わったかの様に綺麗な一本の道になりました。
すると左の方に海が広がっていて、右側には高台の上に一軒家の様な白い壁の素敵なお家が建っているのが見えて、何となくそこは未来の建物の様な気がしました。
そして無意識に『あそこではきっとガラスの作品を作っている人がいて、キラキラでいっぱいなアトリエなんだ』と、ふと心の中で思いました。
どうして建物を見ただけでそんな風に思ったのか自分でも不思議に思いました。
すると次の瞬間母に
「お前は前世ガラス職人だった」と言われ、
『…ガラス職人…?』と、
突然思ってもみなかったことを言われ唖然とすると、
その瞬間ふと何となく左側に首を動かし目を向けると、そこには綺麗な青い海が広がってキラキラと光っていて
『何て美しいんだろう、どんなに苦労してもこの海の輝きにいつも助けられていた…そうだ!私はこの海のキラキラを表現したかったんだ』

と、忘れていた何かを思い出したかの様にはっとしました。
その後も少し歩き続けていると、船乗り場の様なところにたどり着き、先の尖った小さなボートの様な小舟に母を乗せ一緒にどこかへと移動しました。
まるでいくつもの時代をひたすら生き続けて駆け抜けていった走馬灯の様な夢でした。
夢は潜在意識を表していると言いますよね。
なので何か自分でも気づいていなかった心の奥に眠っていたものが呼び覚まされたのだと思いました。
10年前に夢を見た後、ガラスのことや歴史を調べてみると、夢の中で感じた海の輝きに最も近いものとしてヴェネツィアングラス(ヴェネツィアンビーズ)に出会いました。
そしてヴェネツィアングラスのあまりの美しさに、いつか本場に行ってマエストロやスピアルーメ達の作品に対する愛と情熱、代々続いてきた歴史を、実際に身を持って感じたいと思うようになりました。
それが私にとって全く未知の世界たったヴェネチアングラス(ヴェネチアンビーズ)のことを知ったきっかけでした。
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